紙芝居の絵の町で

今月頭に古巣の紅テントへ行ってきました。
花園神社で上演されていた劇団唐組「紙芝居の絵の町で」。
こちらは私が在団2年目の春に初演されて、唐さんに唯一当て書きされた思い出の芝居です。

その役とは、お弁当屋の市子ちゃん。
花道から出て花道で話すという唐さんによる演出で、舞台に一度もあがることもなく、花道女優と言われてました。
照明作りの時も、照明もやっていた現座長代行の久保井さんに「お前の照明だろ」と言われながら、花道に立って照明合わせをしていましたね。

今回は同期の気田が、客演として復帰し、唐さんの役を演じてて実に感慨深かった。
そして、あーこんな場面あるあると思いながら、約20年前を思い出しつつ、涙ちょちょぎれでした。
やっぱり思うところが多いのは辻さんの情夜涙子。
生前の辻さんが思い出されて胸がきゅーっとなりました。
辻さんもきっと空から覗いてただろうな。
友寄さんの情夜涙子も実にチャーミングで素敵でした1

紙芝居は今回で3回目の上演なのだけど、初演からずっと出演しているブライス人形がいます。私の愛娘、つぶらちゃん。

初演時に良い人形ないかなという話になった時、高価なブライス人形を貸し出すのが嫌で渋っていたけど、お目目くりくりなのがぴったりで、丁重に扱っていただくということでお貸し出ししたら、それはそれはものすごく好評で当たり役に!つぶらを愛する兄役の久保井さんにも「(評判が良いのは)この人形のおかげ」と言われ、それ以降、再演ごとにお貸し出ししています。今回も大活躍で、その勇姿を見届けに行けてよかった。

さてさて久しぶりに見た紙芝居、やっぱり良い芝居だな〜としみじみ。
唐さん節が効いてるのはもちろん、コンタクトレンズに写った思い出とか、なんでそんなこと考えられるんだろうっていうことが散りばめられてるし、その頃の社会情勢とかも取り込まれてて、さすがです。

特に今回、見返した唸ったのは、名雲ひとみの台詞。
パートナーであるカッとしやの群青疾風に向かって、「カッとしないで!」となだめた後、少しの沈黙のあとに、「カッとして!ぐんちゃん、いいからカッとして!」というのがすごいよかった。ちょっとこれじゃうまく説明できないけど、微妙な女心が実にうまく表現されてて、なんでわかるんだろうって。

ただどうしても初演時の思い出が強すぎるのもあり、あの頃の空気感を味わいたく、NHKで放送された公演映像の録画を見ます。ビデオだから画質はよくないけど楽しみ!

花園神社の赤い鳥居に紅テントの組み合わせ好き。

初演時から変わらないイラストは高畠華宵かな。

愛娘つぶらちゃん。紺色のワンピースを着てたんだけど、スーツから取り出す時に目立たないということで、慌ててハギレから花柄のワンピース作りました。以来、ずっとこのお洋服。この手は久保井さんか、辻さん?