ゆれる人魚
駆け足のまま、感想を。
一言で言えないけれど。
きっとあたしも泡になるのを選んだと思う。そしてそれはすごく幸せなこと。
幸せなんて今更求めてもないのだけど。
恋をして、そしてそれを貫くことを選ばなければ、ずっと人魚のまま、姉妹仲良く暮らしていけたのに。そして恋は移ろいやすいもの。永遠ではない。でも、それでも、そこに賭けてしまうこと、第三者から見れば愚かに思えるし、実際あたしもそう思ったけれど、でもきっとあたしだって、シルバーだったら人間になることを選んだと思う。その先が泡になるかもしれなくても。そして、その状況はまさに今のあたしに近いんじゃないかしら。
『轟く』でも『水滴チューリップ』でもあたしはこの人魚の話を盛り込みました。小さい頃から特に人魚姫が好きだったわけじゃありません。どちらかというと嫌いだった。他のお姫様は幸せになるのに、どうして人魚姫だけ泡になっちゃうの。でも大人になるにつれ、他のお姫様の結婚という甘すぎる最後に、だってその先はどうなるの?ここは『水滴チューリップ』に書きましたが、その最後に辟易として、結婚は終わりじゃないし、はじまりだし、だから泡になる人魚姫の話がいちばんしっくりきた。その泡になることはあたしの夢。あたしもいっそ泡になりたい。一世一代の恋をして泡になる。情熱的な様々な感情を知らないまま平凡な長い日々の営みを送るよりも、その方がずっとあたしは良い。
そんなことを思って。
昨年の今日は自分史上何番目かに幸せな日で、Twitterには1番と書いたけど、でもヴァルハラ最後の日だって幸せだったし、とにもかくにも、幸せだった昨年は5cm浮いておりました。
その1年後、まさかこんな風になってるとは思わないでしょう。でもこれがあたしの選んだパラレルワールド。
明日の神話にお別れをして、楓を歌って。
でも、この7年間も嘘じゃないんです。真実でした。あたしはそれがすべてだったし、救いだったし、目標だった。
ただあたしは泡になることを切望する。
だからこの髪の毛も伸ばしていくことにしました。
そう人魚になるの。