愛すべきパラレルワールド

「あたしはいつだって パラレルワールドと隣り合わせに生きてきました
幾千幾万もの平行する世界 その世界ではこの世界で叶わなかったことも叶ってる
だからせめてこの世界では この世界のあたしとして全うして生きていこう
そう思うのです」

3年前の芝居「言問う処女」の口上の通り、私はいつだってパラレルワールドと一緒にあったんです。
そのきっかけはSF&漫画オタクの父の影響から。小学生の時にはパラレルワールドの存在を知っていて、SFは嫌いだったのだけど、パラレルワールドの概念だけは私の中に住み着きました。

パラレルワールド思想の元に育ち、叶わなかったことはパラレル送りにして生きてきました。
私にとっては本当に大事な信仰でありお守りです。

そんなパラレルワールドが私の中から消えてしまったのは、あの芝居の時。切り売りしてしまったのでしょうね。商品化してしまった私の大事なお守りは、空気中に映し出され消えてしまいました。
これは何よりも辛かったです。

昨日、「言問う処女」を元にしたシナリオ「言問う人魚」の書籍化に向けての打ち合わせで、そんなことを話しながら、ふと思いました。私は現世でもパラレルを生きてるなと。昔からいろんなコミュニティを持つのを好み、仕事もいくつもしていて、唐組時代はその狭い世界に反吐が出るほどでした。

いくつもの仕事とコミュニティを持っているのはまるでパラレルワールドだなって。そんなことを思ったのですね。それぞれの世界でいろんな顔のあたしがいて、道化のあたし、真面目なあたし、臆病なあたし…。それ自体がまるでパラレルワールドだなって、気づいたんです。

それってとても興味深いし面白い。
だから私は仕事をひとつに絞らないし、コミュニティだってひとつのところズブズブになるのを恐れている。(いまは中銀カプセルコミュニティにズブズブですが…)

やはり私はパラレルワールドを愛してるのです。
いつでも私の中に蘇ってくれていいのよ。